私たちの強み

キャリアアップ事例 Case 04

Case 04ME系エンジニア 
木村 新吾 さんきむら しんご
1997年キャリア入社 46歳

世界初のモジュール開発や特許取得等を経て、
多様な企業での経験が、今も私を成長させています。

これまでの
主なキャリア
1995年工学部機械工学科卒業後、設備メーカー入社 1997年メイテックフィルダーズ入社
空調機器メーカーで大型エアコンの設計補助を担当
1998年自動車メーカーで吸気冷却系およびエンジン周辺機器を設計 2008年事務機器メーカーで複写機の外装・カバーを設計 2011年電機メーカーで小型アンテナおよび大型望遠鏡機器を設計

「とにかく設計がしたい」と大手メーカーから当社に転身した木村 新吾さん。当初は「図面ってどう描くのですか?」と質問していたエンジニアが、後に自動車業界で、世界初の吸気・冷却モジュールを開発するまでに成長。現在も貪欲に経験を積み、最先端のプロジェクトで活躍する木村さんに、キャリアと仕事への想いを語ってもらいました。

My Best Jobおもちゃ屋の店頭でひらめいた、世界初の自動車部品

私にとって、すべてのキャリアがかけがえのない財産ですが、中でも1998年からおよそ10年間働いた自動車メーカーでは、貴重な経験をさせてもらいました。
エンジン周りの吸気・冷却系部品の設計を担当していた私は、ある日、従来の小型車を約2/3の大きさにするというプロジェクトのメンバーに抜擢されます。乗車スペースを確保すると、必然的にエンジンルームが圧縮されます。エンジンの大きさは排気量でほぼ決まりますので、ほかの周辺部品を小さくするしかありません。「吸気・冷却系を小型化できなければ、このプロジェクトは失敗」という超難題が、私に課せられたのです。
思い悩み、ヒントを探して週末街に出た私は、玩具店でマラカスとタンバリンが一つになったおもちゃを目にします。「なぜこれを一体にしたのだろう?」と手に取った瞬間、ふいにひらめきました。
冷却装置と吸気ユニットを一体化したら小型化できるのでは? 固定概念を払拭した私は、そこから面白いようにアイデアがわき出し、一気に構想図面を描き上げました。しかし過去に実績のない構造となるため、「人命を預かる自動車の部品として、本当に品質が確保できるのか」を証明しなければなりません。さらに機能や性能に加え、成形性、コスト、組付性、メンテナンス性など、技術的な課題は山積みでした。
そこから気の遠くなる検証と安全確認を行い、改良を積み重ねました。約2年の月日を経て、ついに『世界初の吸気・冷却モジュール』が完成。多くの特許も取得しました。お客様の事業に多大な貢献ができたことをうれしく思うと同時に、難題を成し遂げた私は「これで本当のプロフェッショナルになれた」という手応えを感じていました。

これまでの経験の数々異業種での経験を踏まえ、ロボット開発に挑戦中

その後、事務機器メーカーへ赴き、複写機の外装やカバーの設計を担当することになりました。当初は世界初の部品づくりに挑戦した一大プロジェクトとのスケールの違いに、かなりとまどいました。しかしいざ業務に就くと、それは愚かな考えだったと気づかされます。自動車は「剛」の設計、事務機器は「柔」の設計で、事務機器ならではの柔軟な設計方法やテクニックに驚かされるばかりでした。
業界や会社が変われば違う設計思想や技術があり、それぞれのお客様のニーズに沿った設計方法があるのです。「プロフェッショナルになれた」と思っていた私は、改めて設計という仕事の奥深さ知りました。
こうして「柔と剛」の設計技術を習得したものの、まだ自分に足りない技術があることを認識していました。「動く部品」の技術、つまり機構です。次は機構部品の設計をしたいと思い、私はすぐに猛勉強を開始しました。
その甲斐あって、現在は総合電機メーカーに派遣され、特殊な機器の機構設計を次々と任されています。特に、巨大天体望遠鏡を自動メンテナンスするロボットの設計は非常に面白かったです。機構部品の化け物みたいな構造に最初は頭を抱えましたが、理解できるとその魅力に一気に引き込まれました。そして今、私は次世代のロボット開発に挑戦しています。

エンジニアに必要なこと挑戦し、やり抜く。その「経験」が、エンジニアを育てる

私は、「エンジニアにとって『経験=成長』だ」と考えています。参考書などから学ぶ知識やスキルだけでは仕事はできず、「仕事ができるようになるには仕事を経験するしかない」のです。私は早く成長したいという思いから、いただいた仕事を納期より早く終えては「次、お願いします」とお客様に頼み、経験数を増やしてきました。その中で私が評価された点があるとすれば、「責任感」と「チャレンジ精神」でしょう。責任を持って仕事に取り組み、やり抜くのは基本ですが、ただそつなくこなしているだけでは新しい発想や思想を求められるハードルの高い仕事はなかなか経験させてもらえません。責任感とチャレンジ精神をバランス良く持つことが、エンジニアの成長のカギだと思います。
そんな想いやノウハウをメイテックフィルダーズの後輩たちに伝えたいと、仲間たちと「メカ塾」という勉強会を立ち上げました。将来はメイテックフィルダーズのエンジニア全員がお客様先でハイレベルな活躍ができるよう、実践的な教育をしたいと考えています。
今でこそ多くの仕事を任されている私ですが、実は最初に派遣された空調メーカーで「この図面を描いて」と言われて「図面ってどう描くのですか?」と質問した愚か者でした。苦笑しながら基礎を教えてくれたお客様先の上司が、契約終了時には感謝の手紙と名刺入れをくださり、涙が出るほど感激したことを今でも思い出します。派遣エンジニアという働き方は、多くの人や仕事と出会って成長できる、魅力ある働き方だと思います。私を育ててくださったすべてのお客様と仕事に、心から感謝しています。